EU遠征
マッターホルン・ヘルンリ稜

日にち:2004年8月
パーティ:加藤・岡田・相馬・松葉口・永野・澤野・関真


●8/11(水) マッターホルン ヘルンリ小屋へ
 別荘/9:10−−coop−−パン屋−−ロープウェイ乗場/10:10==フーリ==シュワルツゼー10:50/11:10−−休憩12:00/12:15−−休憩13:10/13:20−−ヘルンリ小屋14:30

朝食をみんなで食べ、コープで行動食を買い、ロープウェー駅まで。その途中パン屋があり、美味そうなハムサンドがあったので買った。ちょっとつまんだら美味かったので満足。結局みんな買った。フーリまでは昨日と一緒だが、今日はシュバルツゼーに向かう。景色はあまり変わらないが、やはりいいものは何度見てもいい。天気は薄曇りでイマイチ。のんびりハイキング道を行く。やがて軍艦のように見える岩壁に入るが、ルート自体は急なだけで普通の道と変わらず難なく乗り越す。岩は脆いようだ。この辺からヘルンリ稜と呼ぶのかな?反対側に出たらガスってて何も見えない。ただ歩くのみ。我々は大変のんびりペースのため、漏れなく抜かれた。最後に岩稜帯を40分登りヘルンリ小屋へ到着。岩稜帯の真ん中へんで前日に登頂した日本人3人パーティに会って話を聞くと、登頂後時間切れでソルベイ小屋にビバークしたものの、降雪のため本日ソルベイ小屋からヘリで運ばれたとのこと。今日は誰も登っていないとのこと。俺ら大丈夫か?天気も大丈夫か?雪は大丈夫か?と不安になる。

ヘルンリ小屋に着き、ちょっと休み、偵察に向かう。取付までは5分。雪が残っている。出だしはいきなり垂壁5mをFIX頼りに登る。50mほど岩場が続くと、ガレ場のトラバースになるが、これが本当に迷い道だ。少し油断すると即ルートをはずす始末で、とても神経を使う。やはりガイドの国はそれなりの登攀を強いられるようだ。しばらく行くと明確な岩峰にぶつかったので、これを目印に定め、小屋に戻る。中は結構広くきれいだ。名渉外役の澤野にチェックインしてもらい、2Fの部屋へ行くと、12人部屋の2段ベットでマットレスがありとても快適だった。靴を脱ぎ備付の草履に履き替え快適。荷物の整理には時間をかけ、選択したが、基本的にはギリギリの荷物で速攻登頂ということで話はまとまった。夕食まで時間はがあったので1Fへ行きビールとワインを皆で飲む。いい前夜祭になり、調子が出てきたころ夕食が始まる。スープ・ジャガイモ料理・鶏肉料理・パスタ・デザートと盛りだくさんでとても美味しかった。大満足で就寝。快適に眠れた。

●8/12(木) マッターホルン登頂→下山
 ヘルンリ小屋/4:35−−ソルベイ小屋8:35/9:00−−マッターホルン山頂12:05/12:15−−ソルベイ小屋16:50/17:00−−−−ビバーク26:00

3時半?に起床。朝食直前まで真っ暗。朝食は悲惨だった。パンも料理も口に合わなかったが、バターをたっぷり付けて何とかパンだけは食べた。朝食後は慌しく、 誰もが口数少なく準備している。大分後になって出発。一人残ることになった関姉に見送られ出発。何となく変な感じ。緊張して興奮しているが体調は良い。でも何か先に進みたくない。でも表向きは普通に歩き、昨日下見に来ていた取付まで淡々といく。ペアは当初の予定通り、澤野+永野、岡田+松葉口、加藤+相馬。先行パーティは随分先だが、慎重にFIXに身を預け登攀開始。

1時間もせずに昨日の折り返し地点に到着。真っ暗で先行パーティがいない割にはいいペース。ここからは未知のルートなので、ペースを落とし慎重に進む。なかなか順調に進む中、辺りは明るくなり、マッターの山頂も黄金に染まる。感動的な光景だ。気分は最初から比べれば落ち着いてきた。 ところが、この辺からルートがわかりづらくなってくる。どこでも行けそうだが、行きすぎると4級クラスのグレードになり、緊張を強いられ厳しい。それゆえ澤野組と岡田組が代わる代わる先頭に立つ始末で、なかなかはかどらない。それでも黙々と前進し、3時間で下ソルベイスラブまで来た。しかし、ここで30分以上待たされる。2パーティいたがどちらも岩登りに慣れてるとは言えず、オイオイと閉口した。そんなことで煽るように後を追っかけ4時間でソルベイ小屋へ到着。

ソルベイ小屋は小奇麗で、10人ほど順番待ちをしていた。我々もザックを下ろし最後尾に並んでパンを食べる。皆疲れた表情もなく元気である。この後はすぐ上ソレベイスラブだ。先行パーティの登り方を見ていると、登山靴では登りづらそうで、3級っぽい。ガイド以外はかなり苦戦にしていた。のんびり見ていると、我々の前2パーティが一向に登る気配がないので、こいつら遅かったし先行っちゃおうぜ、と相談し取付いてしまう。何も言われなかったので、永野に続き岡田もルートを変え、同時に登り始める。なかなか手ごわいが気合一発であっという間にビレイ点に到着し、松葉口を向かい入れる。永野もすぐ上で澤野をビレイ。ここから雪田までは常に先行パーティを煽る展開になった。ルートも前半よりかなりわかりやすくFIXが多くなる反面、遅い先行パーティを抜くポイントが少ない。うわさの極太FIXは直径5センチほどの綿のロープで非常につかみやすかった。標高も4,000mを超え、息が苦しくなってきたが、それでも3パーティ抜き、いいペースで肩の雪田に出る。

30度くらいの比較的安定した斜面である。普通ここからアイゼンを付けるらしいのだが、まだ行けるだろうと判断し付けずに、上を目指すがこれが大失敗。雪田を終え、岩稜に戻りしばらく行くと、北壁側に回りこむルートになっていたが、そこは70度の斜面に氷化した雪が薄く張り付いたルートで、FIXが50m近く張られているものの、アイゼンなしではほとんど腕力で登らなくてはならなかった。10mおきに足場を作って休みながら何とかFIXを登り切り、安定した個所にでると、日本人のおばさんを連れたガイドが「なんとかかんとか、クラポン?」を連呼するので、「アイハブインバック」と言うと天を仰いで「オーノークレイジーノークラポン」とまた騒ぎ出した。クラポンはアイゼンの別称なので、「ここをアイゼン付けずに登るバカがいるかー!」と言っているのはすぐわかったが、下のメンバーに言っても仕方ないので、ニコニコしながら無視した。しかしあと5人仲間が登るのを待ってくれと言ってソーリーを連発した。全員登り切った後もそのガイドは何か言っていたが、完全に無視した。そしてすぐ上に座れる場所を見つけすぐアイゼンを付けた。

それから山頂までは50度の傾斜で雪が続いていた。もうすぐ山頂だろーなーと思って上を見上げると、うわさに聞いてたバーナー像が見えた。するとあれよという間に涙が溢れてきた。放っておくと嗚咽しそうなので、なんとかこらえるも、呼吸はできない。相方に気づかれないよう止まって呼吸を整え、再出発するが、ちょっとでも油断するとヤバイ。気を入れ直して、余計な事を考えないようただひたすら登るとバーナー像に到着。下にいる仲間に「着いたぞー!」と大声で伝える。皆手を挙げて「おー」と大声で返してくる。それからは感動を押さえられず、ただ一人、涙にくれ「うぇーんうぇーん」嗚咽した。皆が到着してそれぞれ涙ながらに握手・万歳三唱いろいろやった。

少し落ち着いた所で、周りの景色を楽しみたいところだが、時間が大分遅れているのと、西側に厚い雲が迫ってて明らかに天候は崩れているので、イタリア側山頂は踏まず、すぐ下山することにする。下山は時間がかかるが安全第一ということで全て懸垂下降する。最初の2時間ほどは他のパーティと順番に降りていたので、ほとんど進まず、いくらかばらけた後もはかどらず、結局登りより1.5時間も余計に時間をかけてソルベイ小屋に戻った。天候はかなり悪化してきたので、小屋に入り食べ物を取るが皆疲れが出始めていた。まあ12時間行動してきたから無理もないが、あとはヘルンリ小屋まで下るだけだから、いくらなんでも明るいうち(22時)には帰れるだろうという安堵感もあり、会話がはずんだ。

さてもう一踏ん張りと外へ出て、また延々懸垂下降を続ける。天候はどんどん崩れ、霙が降り始めた。最初は良かったが、1時間も降り続くと人の通った足跡はもちろんだが、その気配まで完全に消し始めた。おまけにガスも出てきて、20m先も見通せない状況になってしまった。気温もどんどん下がってきてるので、とにかく明るいうちにできる限り下に降りなければと、偵察を先行させ、ルート開拓と下降を同時進行で行い突破をはかる。しかしなかなかすんなりとは行かず、はかどらない。唯一霙が止んだのが救いだが、見通しの立たないまま日は暮れた。

暗くなっても行動はそのまま続ける。するとガスが切れ眼下にヘルンリ小屋の灯りが見えた。合図してる灯りが見えたので、関姉のものと認識し、こちらも応える。普通なら1時間の距離だが、とにかくルートがわかりづらいので2時間かかるかなーと思っていたが、甘かった。0時を回ったあたりからルートが全くわからなくなり、上り下りを繰り返すようになり、体力的にも精神的にも厳しくなってきた。こうなるとビバークが頭によぎるが、異国の地に来てまでそれは避けたいので、必死にルートを探す。すると何とかFIXを見付け出し、事無きを得るが、それもつかの間。FIXがあるのに行き止まってしまう。いろいろ可能性を探り、最後に加藤隊長が崖を懸垂下降したが、ただのガレ場でルートではなく、むなしく登り返してくる。この時点(2時)で最年長の相馬さんが「もうビバークしよう」と言い、皆納得して、3人づつに分かれ、ツェルトを張る。狭い・寒い・体整が悪いでは疲れてても寝れるわけはなく、ウトウトするのが精一杯で、時計ばかり見ていた辛いビバークだった。

●8/13(金) マッターホルン下山と休息
 ビバーク2:00/4:30−−ヘルンリ小屋6:00/8:00−−シュワルツゼー10:00/11:00==フーリ==ロープウェイ乗場11:30−−別荘11:45

4時を過ぎ、もー耐えられんと話し始めた頃、人の話声が聞こえた。誰だろーと耳を済ますと、登攀用の金具が当たる音もしたので、時間的に誰かがこの近くを登ってると判断し、皆起き出す。すると我々の真正面の岩峰のテッペンから登山者が姿を現し、「OH〜」と驚かれた。我々も目の前の尖がった岩峰がルートとは思わずビックリ。ほんとにわかりずらいルートだ。ここまで1時間で来たという言葉に励まされ、即下山準備。いざ下るとわんさと登ってくるため、待ち時間が多い。我々が登ったルートとは明らかに違い、ガイド用の近道らしい。皆この時間に下山する我々をいぶかしそうに見た。急ぐ必要はないので、ゆっくり下り、6時ちょっと前にヘルンリ小屋へ到着。一人小屋で待っていた関姉は泣きながら出迎えた。長い長い1日がようやく終わった。あー疲れた。

外でくつろいでいると、朝日がマッターホルンを照らし始めたので、写真を撮りまくった。いいかげん寒いので小屋に入り荷物を整理して、管理人が出てきたら何か飲み食いしようと待ってたら皆ゴロゴロして、寝だした。いくら待っても管理人が出てこないのであきらめて下山する。何回も振り返りマッターを眺めたがすぐガスがかかってしまい残念だった。シュワルツゼーに着き、レストランでビールとつまみを買い、大きく乾杯。達成感・満足感・安心感で至福の時を過ごす。1時間で切り上げツェルマットに戻ったが、岡田と相馬さんは飲み足らず、すぐ近くのレストランに寄り、宴会を再開する。しかし疲れからか、ここも1時間で切り上げ、フラフラしながら別荘まで帰る。先に帰ったメンバーは寝てたり、風呂に入ったり、片づけをしていた。俺も風呂に入り、洗濯をし、片付けて眠る。

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