北岳バットレス・下部フランケ・第四尾根

日にち:2006年8月13日〜16日
パーティ:岡田・松葉口・永野

日本第二の高峰。その頂上直下に突き上げる複数の柱状岩稜。それが「北岳バットレス」。その600mに及ぶ岩壁をクライマーは放ってはおけない。

攀じるべし!

北岳バットレスはみんな初めてだったので、アプローチ・登攀もエキサイティングなものだった。だが、その分山頂に抜けたときの喜びは格別だった。

8/13 晴

5:00 深谷体育館発。永野がめずらしく寝て待っていた。荷物を積み替え直ぐに出発。

6:10 松葉口宅着。去年の和名倉沢に行ったとき依頼だが、迷うことなく行けた。一応お宅拝見し、一年前を懐かしむ。特に意味はなかった。20分ほどで出発。まだまだ長いドライブだ。
8:40 芦安市営駐車場着(第5駐車場・金山沢温泉隣)。やはりタクシー会社の運ちゃんが客引きをしていたので、それに乗っかる。バスが1000円、乗合タクシーが1100円。歩く距離がいくらか少ない乗合タクシーに軍配か。夜叉神のゲートが10:30になんないと開かないとのことで、10:15に出発すると言われる。ひまつぶしに金山沢温泉の前にあるクライミングボード(3m)で遊ぶ。が、すぐ飽きて隣のバーベキュー場で寝る。風が爽やかで熟睡してしまう。
10:05 同所乗合タクシーで出発。10人乗りのワゴンに10人乗ったが、狭くはなかった。夜叉神に着くと、一般車両があふれんばかりに駐車していた。ここからは許可車両のみらしい。少しゲートが開くのを待って再出発。道中、谷がものすごく深く、怖いくらいだ。森も深い。舗装なのに揺れもなかなか。途中、数台のバス・乗合タクシーとすれ違う。広河原と夜叉神をそれぞれ同時に出発してるとのこと。
11:00 広河原着。遠くに北岳が見えて、いい感じ。臨時の登山センター?のオヤジに計画書を渡す。天気は最高だ。
11:15 広河原発。冬合宿以来のザックの重さにヒーコラする。春は縦走だったからそんなに重くなかったもんなー。BCだから持ってきすぎなんだよね。登山者はそれなりに多い。下山者はもっと多いか?いちいち挨拶する人がほとんどなので、うざったい。こっちは息上がってるんじゃい!静かにしろ!と声高に言いたかったが、疲れるので無視した。今日はのんびりなので3回休憩した。
14:10 白根御池山荘着。ふー腰が痛い。すぐテントを張り、生ビールで乾杯。800円なーり。場所代は一人一拍500円。水飲み放題、トイレは水洗を考えれば安いと思う。新築したばかりのキレイな山荘。その夜は満天の星空。流れ星もチラホラ。男三人いい夜だった。


8/14 晴
3:00 起床。よく起きられました。今日は第五尾根支稜〜下部フランケ〜Dガリー奥壁の継続登攀ということで気合が入る。

4:30 暗いなか出発。深い樹林帯のアップダウン。木の根っこが邪魔。
4:50 大樺沢二俣着。発電機を着けたトイレが二つ。中の臭いは強烈。オーバーユース?なくてもいーんじゃない。ここからは大樺沢の左俣、八本歯のコルへの道をいく。雪渓はたっぷり残っている。ヒドンガリーを過ぎ、しばらく行くとバットレス沢。水流の多いC沢を過ぎるとD沢。
5:45 D沢出合着。大岩にD沢と赤字で書いてある。踏み跡は少なめ。枯れ沢のゴーロを詰める。最後に雪渓がいくらか残ってるが、容易に回り込めて問題なし。
6:20 dガリー大滝取付着。屏風状に岩が開けている。落石は怖いが、取付としてはいい場所だ。先行パーティは2組。同じ会らしく、ピラミッドフェースに取り付いていた。早速準備する。久々なのでキンチョーするなー。オーダーは第五尾根支稜は松葉口リード、下部フランケは岡田リード、Dガリー奥壁は永野リードとする。
6:55 第五尾根支稜の登攀開始。松葉口が慎重にザイルを伸ばす。ルートが屈曲してるので、2ピッチで抜ける。岩は硬くてフリクションも良く効き、「快適」だ。バンドに出て、今度はdガリーの凹状のスラブを登る。上部がV級。ザイルはつないだまんま。そして、またバンドに出る。ここからは下部フランケに入るので、ザイルを付け替える。トポを良く読むが、取付がわかりづらい。30分ほど登ったり下りたりして迷ったが、残置が明確なルートに決め、取り付く。

下部フランケ1Pの出だしはのっぺりとしたフェースのクラックで、いきなりホールドが無く、しょうがないのでハーケンを打ち、A0。その後も数手アビミが入る。難しい!岩は乾いてて硬くて最高だ。しかし概して傾斜が強く、ホールド・スタンスとも小さい。またルート自体が凹角を登るルートなので、チョックストーンに頭を抑えられ、体を外に投げ出して乗り越えることしばしば。
X−・W+・W+・W級と続くピッチのリードは過酷だったが、気合が入ってて疲れは感じなかった。むしろ楽しんでいた。消防署のフリークライミングの成果かな。
そして最後のピッチ。簡単なんだが、最後に左へトラバースしないとDガリーには戻れないところだった。バンドに出て、左へ行ったが、どう見てもルートには見えず、踏み跡もある右上ラインを行ってしまう。すると、45m行った所にいい支点が出てきてビレイ。永野と松葉口を向い入れる。俺もそーだったが、二人もおかしいと思った。右にあった大きい尾根の右側に出てしまったんじゃないか?そーするとこれは第四尾根じゃないのか?我々はその現実を素直に受け入れ、今日はここまで充分頑張ったからいいや。このまま第四尾根を登ろう、ということになった。(ピラミッドフェースの頭の上)
11:50 第四尾根に合流。初めて行動食を食べる。リードはそのまま岡田が続ける。そこからザイルを一杯に伸ばすと、かの有名なマッチ箱だった。やはり、第四尾根は人気ルートだ。枯れ木テラスに先行パーティが見えた。こうなると安心感が違う。先のわからない難しいルートを攀じているときと、ひと気のする普通?ルートの差は大きい。先行パーティに追いつくことはなかったが、楽勝ムードで攀じる。
14:30 第四尾根終了。登山靴に履き替え、飯を食べ、休憩。
15:00 出発。稜線までの踏み跡は明瞭。
15:15 北岳山頂着。ガッチリ握手。岡田は初の北岳山頂。小休止。

15:45 肩の小屋着。大休止。ビールをいただく。うまい!最高!
16:30 肩の小屋発。
17:30 BC着。13時間行動。目的のDガリー奥壁は行けなかったが、大満足な一日だった。


8/15 晴のち雨
3:00 起床。さてさて、この日は予定が定まりません。というのも、前日の疲れが残っとります。永野は手首が痛いとゆーとります。松葉口は縦走したいとゆーとります。さてさて・・・いろいろ話し合った結果、岡田・松葉口で第四尾根登攀、永野は間ノ岳まで縦走ということになりました。

5:40 永野(間ノ岳縦走)発。北岳山頂で会おうねって別れました。5:50 岡田・松葉口(第四尾根登攀)発。大分遅い出発になりました。
7:15 C沢出合着。ここで事件発生!松葉口が登攀靴を忘れました。じゃあ止めようかと提案したが、男・松葉口、「1時間で戻ってきます」といい、下っていきました。岡田はのんびり昼寝。登攀気分ではありません。1時間10分で松葉口が戻ってきた。そして、さー行きましょう!だって。あんたはエライ!
9:45 bガリー大滝取付着。今回C沢を詰めたが、最後に足場がグズグズで悪かった。bガリーに取り付くときは、バットレス沢から入り、その左俣であるb沢につなげるのが、最適だ。
10:15 bガリー大滝登攀開始。ドッペルでいく。2.5ピッチでテラス。京都から来たという単独のおじさんに会う。話好きらしくどんどん話しかけてくる。昨夜bガリー取付でビバークして、今日は第四尾根取付まで行って帰りたいと言っている。俺らも始めててよくわからないと告げ、先へ行く。踏み跡を辿りながら、樹林帯に入ったり、ルンゼにでたりして、何となく登っていく。そして何となくルンゼを詰めてしまう。トポにあった通り、いやらしい狭いルンゼにきた。これが本当に悪く、松葉口が落石を落としまくる。仕舞いには50p角の岩も落としそうになったが、なんとかこらえた。あまりにやばいので残置ハーケンでビレイする。
岡田が行くが、かなり厳しい。3m先にビレイ点もあり、行くには行けるが、落石は必至。それまでにかなり落としていたので、もうやばいだろうと留まっていたら、先の50p角の岩が落ちた。ものすごい勢いで轟音とともに落ちていく。他の小さい岩はルンゼの屈曲点で止まったようだが、そいつはものともせず、跳ね返って落ちていった。下のおっちゃん、もう1パーティもいたので安否が気になる、ということで、諦めて下降し他の道を探す。そーいえばおっちゃんが第二尾根支稜に間違えて入る人がいる、と言っていたのを思い出す。そこで、結局俺らはルンゼを一つも越えてないんじゃないか、と考えた。じゃー戻るか、ということになり、樹林帯に戻ると、あった、あった。踏み跡が!ハイ松でテープがわかりづらくなってただけだった。樹林帯の踏み跡をトラバースして、一つルンゼを渡り、また樹林帯。そして二つ目の大きなルンゼがC沢だろう。「4オネ→」の赤い文字が岩に書かれていた。この時点で小雨が降っていたので、一応スタッカットでルンゼを左上に詰め、トポにある「いやらしい」ルンゼの下に出た。ビレイ点あり。そこを登ってバンドをトラバースしたら、待望の第四尾根の取付に出た。
13:00 第四尾根取付着。いやー長かった。これでなんとかなる、と思って飯を食っていると、雨足が強くなってきた。カッパを着て様子を伺うが、風もあって寒いし、岩もすっかり濡れてしまったので、撤退を決める。
13:30 雨天撤退開始。懸垂2回でC沢に降り、来た道を戻る。bガリーに戻り懸垂3回。
15:00 bガリー大滝取付着。少し下り休憩。京都のおっちゃんももう1パーティも確認できた。良かったー生きてるよっと安心する。下りはバットレス沢を下ろうと考えていたが、歩きやすい道を選んでいたら、C沢出合に出た。そこで京都のおっちゃんに追いつき、落石の件を詫びると、「最後の一発はやばかった」とのこと。恐縮です!
17:05 BC着。大した成果はないけど、今日も疲れました。13:00に帰着していた永野が出迎えてくれた。今日は最終日。明日は朝一番で下山するだけ。22時過ぎまでたっぷり飲みました。

8/16 晴
4:00 起床。岡田と永野が二日酔い気味。
5:40 下山開始。汗と息が酒臭いとのこと。1回休憩。
7:10 広河原着。
7:55 広河原乗合タクシー発。この日の運ちゃんは飛ばす。岡田と永野はすっかり車酔い。
8:45 駐車場着。吐きそうなので、しばらく休む。
9:00 温泉(南アルプス温泉ロッジ)
9:50 芦安発。途中甲府の外れで飯を食べ(大戸屋:洒落た定食屋)、雁坂経由で帰る。
14:30 深谷体育館着


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