幽ノ沢・中央壁・左方ルンゼ
日にち:2006年10月1日〜2日 曇雨
パーティ:加藤・岡田・松葉口
20:30 自宅発。
21:40 谷川岳立体駐車場に到着。そんな飛ばしてないけど、早かった。前日から入ってその日に一ノ倉沢3ルンゼを登った二人と合流。立体駐車場の最上階が開放されているので、そこで一晩明かす。
5:00 起床。しっかり酒を飲んだんで、珍しく熟睡できたが、なんか異常に眠い。眠れなくて眠たいのはいつものことなんだけど、眠れたのに眠いとはいかがなものか。おかしい。。。飯を食べるが、食欲がない。サンドウィッチ1つしか食えなかった。おかしい。。。
6:00 準備を終え、一ノ倉沢出合まで車で移動。駐車場は7分入り。まあまあの盛況?
6:20 出発。幽ノ沢出合まで林道を歩く。
6:40 幽ノ沢出合。ガスってて上部は全く見えない。水は少ない。二人パーティに抜かれる。
7:05 二俣着。ヌメったナメ床の乾いてて、楽チンだった。
8:20 T1尾根下部。どーもルートがよくわからないが先行パーティが3組いたので、あそこは正面フェースだな、とか見当をつけ、左方ルンゼを探す。10分ほど休んでいると、「ゴロゴロバコ、カコーン!」という音がした。
「!!!」「岩?」
上を見て様子を伺っていると、「う〜・・・う〜・・・う〜・・・」というかすかな声?が聞こえてくる。加藤さんが「落ちたな。間違いない。」という。今日は救助かな、と思っていると、落ちたと思われる下のパーティが「大丈夫ですかー」と叫んだので、間違いない。登攀準備をしながら、様子を伺う。救助要請があったら、すぐ協力するつもりだった。ところが10分待っても何もないばかりか、その下のパーティはどんどん登っていくではないか。こりゃー大丈夫だったんだな、と判断し、こちらも登ることにする。
左に寄って登ってきたから、まだT1には来てないが、ルートが判然としないし、岩が結構濡れてたので、スタッカットで登る。3〜4級のスラブを3ピッチでT1に出た。やはり残置ハーケンは少ない。3回ハーケンを打った。
10:30 T1。小休止。ここからバンドをトラバースして左上するらしいが、外傾バンドが濡れてて、なんか嫌な感じなんで、1段上がってから、左上して行ったら、ザイル50m一杯で3P目の取付まで行ってしまう。
11:00 3P取付着。二人を向い入れる。核心部なのでよーくルートを見る。するとカールボーデンをゆっくり懸垂下降するパーティを発見。先ほど滑落したパーティだ。とてもゆっくりだが、自分で下りているので、大したことはないのだろう、たぶん。これで気がかりはなくなった。
11:20 登攀開始。本当にツルツルのフェースだ。悪い。ラインもわかりづらく行ったり戻ったりの繰り返し。やはり滑落の音を聞いたショックが、俺の思い切りの勇気を萎えさせている。たっぷり時間をかけて安全に左岩壁沿いを登っていく。が、20m地点で行き詰る。
2m頭上にバング帯があるので、右にトラバースして右のリッジに移ろうとするが、1手A0が入ったあとのホールド・スタンスが見当たらない。それなんで先を良く見ようと思いアブミを出し、最後のスタンスに足を乗せて、残置シュリンゲをつかみ、体重移動をしたら、そのスタンスが崩れてしまった。残置シュリンゲをしっかりつかんでいたんで、事なきを得、アブミをかけて気を落ちつかさせる。その先を確認するが、やはりホールド・スタンスが無く、右のリッジへは行けない。精神的にはもうアウトで降ろさせてもらう。下の二人に確認すると加藤さんが空身で挑戦するというので、プロテクションはそのままにして下ろしてもらう。
加藤さんは右のリッジ沿いのラインを行く。傾斜のあるホールドの細かい濡れたフェースだが、慎重に登っていく。リッジへ上がる最後の2手でアブミを使い、無事核心部を突破。リッジに上がると傾斜の強い草付で、草が邪魔でとても登りづらい。
その後、松っちゃんが登り、ザックを引き上げ、俺がまた登る。が、俺は自分のプロテクションを回収しなければなので、また左ラインを行き、残置シュリンゲまでいって、ザイルを固定してもらい、振り子トラバースで右ラインに合流。超コワッ!
13:40 全員3Pを突破。あとは簡単な岩場だ、と安心感が広がり、小休止。
4P目は3+級だが、結構難しく、時間がかかる。下に救急車の音が聞こえるので、滑落パーティは無事下りられたようだ。
5P目も3級だが、残置支点なく気が抜けない。これで登攀は終わりかと思っていたが、その先も難易度は変わらず、そのまま6P目に突入。ルートもわかりづらく、リードの加藤さんも行きつ戻りつするので、時間がかかるようになる。そうこうしてる間に雨が降ってきた。7Pでは本降り。まいったなー。
17:30 8Pでようやく終了点。暗くなってきた。そこは中央壁の頭に続く道だった。カッパを着て、ヘッ電を付け踏み跡を追って、登り口を見つけ、小休止。ザイルもしまう。
18:20 稜線目指し、藪漕ぎ開始。雨とガスで視界はほとんどないから、遠くは全く見渡せない。去年加藤さんと中央ルンゼを登ったあと、どーやって堅炭尾根に出たか思い出してみる。二人ともあいまいで、微妙に食い違う。四の五の言ってもしょーがないので、ヘッ電でよく照らして、踏み跡を丹念に拾っていく。
途中何度か見失うが、上へ上へ行けば何とかなるような尾根だったはずなので、熊笹や草木を掴んで登る。するといつの間にか踏み跡が出てきたので、勢い登っていく。
19:30 堅炭尾根に出た。やったー!これで帰れるぞーと握手。登山道に出ればこっちのもんだ。本日はじめてパンを食す。美味くはないが、何も食ってなかったので、無理やり食う。あと3時間持てばいい。
19:50 相変わらずの雨とガスなので、道をはずさないよう、ゆっくり下る。メガネ持ちには非常に辛い。
1時間を過ぎた頃、踏み跡が怪しくなってきて、何度か戻って確認するようになってきた。それでもなんとか、沢の音が確認できるところまでは下りてきた。しかし、ある地点からは下の見通しが全然つかなくなる。ヘッ電で見渡せる範囲は2m。ガケにしか見えない。岩に腐ったハーケンがあったが、下がどうなってるかわからないので、懸垂でも下りる気にはなれなかった。その後も登り返して丹念に踏み跡を探したが、どれも違う。いくらか強引にいっても、傾斜がきつくなり行き詰る。
23:00 ビバーク決定。時間もだいぶ経ち、疲れた。雨は相変わらず本降り、風も出てきて、動いて無いと寒いし、安全第一ということで決めた。上のほうに平らないい場所があったので、登り返す。
23:30 ビバーク地決定。加藤さんと俺のツェルトを2枚重ねて使う。体勢は3人が体育座りで横に並ぶ感じ。俺は最終兵器にと、薄いフリースを常備しているので、それに着替えた。2枚重ねで、3人寄り添ってるから、濡れてても結構あったかかった。でもザックを敷いても20分経つとお尻が痛くなるのと、同じ体勢でいるのが辛かった。いくらかうつらうつらできたが、夜が明けるのをじっと待つのは、いつも辛い。
5:00 起きてるけど起床。飯を食べ、明るくなったところで、ツェルトを出る。最初、体はカチカチでよく動かないが、だんだんに直る。要は血の巡りだ。
5:30 下山開始。雨とガスは相変わらずだが、明るいだけで格段に視界が良くなっている。ゆっくり、昨夜通ったところを確認しながら、踏み跡を辿ると、腐ったハーケンのところに出た。そこは大岩のテッペンで、2mその岩を下ればいいだけだった。明るければ何でもないところが、夜だと深いガケに思えてしまう。やっぱり夜じゃこの岩は下りられないね、と合点した。そこを下りるともう迷うところはなかった。
6:10 芝倉沢に出る。雨が降ってても、水量は多くない。融雪期の方が多いな。
6:40 芝倉沢出合。泥だらけのズボンを沢に入りよく洗う。あとは林道歩きだけだ。時間がないので早足でいく。
7:20 一ノ倉沢出合。俺の車が1台だけ寂しく待っていた。何から何までビショ濡れなので、トイレの屋根の下で着替え、すぐ車を出す。土合駅の先のドライブインで各自、家と職場に電話を入れる。急いで帰る。
10:00 どこへも寄らず、二人を送り、自宅着。風呂に入って、飯を食べ、直ぐ出社。