南アルプス縦走 (後編)
仙丈ケ岳〜間ノ岳〜塩見岳〜荒川岳〜赤石岳
日にち:2007年8月11日〜8月15日
パーティ:単独

8/13(3日目) 霧雨のち晴
熊ノ平小屋(5:00−7:30)北荒川岳(7:30−10:00)塩見岳(10:10−11:00)塩見小屋(11:20−14:15)三伏峠小屋・泊
3時半過ぎに起床。あれポツポツいってらー。雨かな。まー今日はそんなに長くないからいーや、とのんびりコーヒーやらスープを飲みまったりしてた。4時頃賑やかだったお隣さんが静かになったんで顔を出したら、もう出発の準備が終わろうとしてた。昨日は停滞しようか、なんて言ってたのにね。外は雨じゃなく夜露の滴りだった。これでエンジンがかかり、俺も本格的に出発準備にかかる。
5時に出発。霧雨かな。カッパを着込んだが暑くて直ぐ脱いだ。ちょうどそこには我が後輩「●治大学山岳部」のパーティがいた。別に山岳部のOBじゃないから声はかけない。いやーそれにしても彼らは硬派だ。服装が麦藁帽子にチェックの長袖シャツ、黒っぽいズボンに革靴。ザックは100L以上で、でかいナベ(金たらいみたいなヤツ)をくくりつけてる。おまけに俺の目の前で「しっかりしろー」と後輩にケリをかましてた。もー噴出しそーなほど面白かった。前日会ったパーティとは大違いだね。「オラは山屋だ。女なんかイラネー」ってかんじ。
1箇所岩峰があっただけで特に特徴のない道中、人は結構いたかな。ガスってて風もあったので、涼しく快適に北荒川岳まで。急にガケ地になるのですぐわかります。ガケの縁を歩き、終わったら左へ下りると旧テント地。廃屋があった。後で聞いたら水は出るらしい。そこからはお花畑がきれい。



稜線に戻るとデーンと塩見岳が目の前に現れる。崩壊しつつあるのかなっていう崖。どうやら晴れ始めて暑くなり、ペースを落とす。休まず登り、やったー稜線だー早いぞーと思ったら、まだ塩見岳山頂は遠かった。
でも30分くらいで山頂へ。ここで例のおばちゃん二人に遭遇。写真を撮り合う。人が多いので早めに下る。三伏峠も見えててなーんだ近いじゃん、とこの時思った。


急な岩場を下り、塩見小屋に到着。しょぼい小屋だな。

三伏沢小屋について聞いた店員のネーチャンもヘラヘラしてアホげだった。ジュースを購入。さーあとは三伏峠まで緩いアップダウンだけだ。足取り軽くスタートしたが、随分下らされてるうちに、結構足にきてると悟る。まー近いからいーやと地図も確認せずひたすら歩く。
しかし全然着かない。アップダウンもそんなに緩くない。

そんなことでかなり消耗させられ、3時間近くかかってようやく三伏峠小屋に到着した。
すぐに受付を済まし、ビールを飲む。うまい!やめらんねー。小屋の前で飲んでたら、例のおばちゃんがやってきた。よくがんばるなーと感心。明日は一人が下山で一人が荒川中岳避難小屋らしい。俺は荒川小屋だからまたもや一緒だ。この日は寝るまでゆっくり過ごし、いいかんじだったが、夜中寒くてあまり眠れなかった。シュラフがほしいね。夜空は満天の星。流れ星もいっぱい見れた。


8/14(4日目) 晴
三伏峠小屋(4:00−5:00)烏帽子岳(5:10−6:30)小河内岳(6:40−9:15)高山裏小屋(9:30−13:20)荒川中岳(13:50−14:45)荒川小屋
眠い目をこすり3時に起床。今日は今回一番の長丁場なので気合を入れたいところだったが、だるい。チンタラ準備をし、4時に出発。ヘッ電頼りに超スローペースで烏帽子岳に向かう。足も痛いし、疲れもたまってきたなー。そろそろ下りようかなーなどとずーっと考えながら登る。ヘッ電が消せるようになり、少しすると稜線に出た。
すると・・・目の前にバーーーーンと富士山が飛び込んできた。
予想もしてなかったので、シビレました。感動しました。これですっかり目が覚め、ペースを上げて烏帽子岳山頂まで。さっきほどじゃないけど富士山がきれいに見えた。


もうすぐ日の出だが、待たずに先を急ぐ。小河内岳の山頂付近は遠くから見るとEUアルプスみたいに牧歌的だった。近づくとハイマツ帯。遠くでみるもんだな。


小河内岳山頂ではメシを食ってすぐ出発。途中10人くらいとすれ違う。人も少なくお花畑が多くていいのだが、ハチが多いの何の。あまり休まず歩いたが、休んだ場所で猿の群れをみた。

いいペースで歩いたので、結構疲れて高山裏避難小屋に到着。先客一人に小屋のオヤジ。登山客とはいろいろ話をしたが、オヤジとは一言二言。偏屈そうなオヤジだった。やがて例のおあばちゃん登場。少し話してお先に〜。
ここからガクンとペースが落ちる。30分で水場。顔を洗い、たっぷり飲んでリフレッシュ。しかしペースは上がらず。カールの直登になってからは薄い樹林で暑く、辛い登高となる。森林限界近くの標識でたまらず休憩。ここからは岩のクズだらけの急登。直射日光をモロに受けます。いつ着くのやら・・・と歩いてるとガスってきた。おっ、風も出てきた。結構涼しいぞ。ということで少しペースが上がりました。稜線に出ると何度もだまされながら、やっとのことで荒川前岳。おっさんが一人で無線をしてた。何が楽しいのだろう?


ちょっと休んで荒川中岳に向かう。荒川小屋への分岐を確認し、ザックを背負って中岳へ。いやー着いてしまいました。
決断の時だ。悪沢岳をどうするか?今の体力じゃ空身でも往復2時間かかるだろーなー。すると戻ってくるのは15時半か・・・荒川小屋はさらに1時間・・・もーいーか。疲れたよ。今日は道中、下りるかどうかずっと考えてた。光岳まで行くには休暇が足らない。予定を短縮せねば。でもこの日までできなかった。明日下りなければ、明後日は道がないので下りられずその翌日になってしまう。中岳にいた人に下山路をいろいろ聞いたが、やはり選択肢は少ない。
明日、赤石岳に行って大倉尾根を椹島まで下山しよう、と決めた。この3日間は10時間前後歩き通してきた。もーいいかな。遅れてきた例のおばちゃんは、千枚岳経由で椹島らしい。ここでサヨナラとなった。

荒川小屋までは下り一辺倒。かなり足にきてるので辛い下りだった。
やはりすぐビールで一日の労をねぎらう。テントを張ってまったりビールを飲んでると、隣のテントの人と話がはずんだ。なんと南ア全山縦走を目指し、2週間の休暇をとり、8/5から入ってるとのこと。ペースは俺の計画の半分。俺も目指していたが、今日断念した旨を告げ、是非がんばってと励ます。この人のような計画で来れれば最高だろうなーとうらやましかった。
最後の夜も満天の星。きれいだ。帰りたくなくなった。

8/15(5日目) 快晴
荒川小屋(4:50−7:10)赤石岳(7:30−9:20)赤石小屋(9:30−11:30)椹島ロッジ12:50=13:40畑薙第1ダム14:30=18:00静岡駅18:23=20:00東京駅20:32=21:22本庄早稲田駅
良くは眠ったが、寒くてよく目が覚めた。やっぱシュラフ買おう。
さて今日の予定は逆算だ。椹島の最終バスは13:30。コースタイムは8時間半。てことは5時出発でOKだ。下りだから時間は稼げるはず。
ということでお隣さんにあいさつを済ませ、富士山を見ながら5時前に出発。
今日も良い天気だ。小赤石岳まで何ともつまらない道をジグザグに登高。

小赤石岳からは楽しい稜線歩き。だいたいコースタイムで、今回最後の3,000m峰・赤石岳に到着。


←聖岳が近い。
行っちゃおうかな・・・とも思ったが、帰ろうと決め、下山後の快適な生活を想像してしまったら、もう気持ちは翻らない。

ゆっくり最後の景色を楽しむ。
←スタートの仙丈ケ岳が小さく見える。
あんな方から来たんだ。よく歩いたなー。楽しかったなー。南アルプスっていーなー。

さて飛ばして下るぜ。
先ずは赤石小屋。樹林帯まで急な岩場だが、得意なのでガンガン下る。
樹林帯に入るとアップダウンの連続で結構辛くなる。
富士山の写真で有名な富士見平に到着。俺は赤石岳からの方が好きだな。というか全然大したことなかった。もっと良い場所たくさんあるよね。
写真だけ何枚かとって先を急ぎ、赤石小屋に到着。40分稼いだ。よしよし。

赤石小屋で夏っちゃんを買って飲む。楽々350ml缶一気飲みできました。・・・初めてです。小屋の時刻表見たら、最終13時だって。30分早いんだ。13時まであと3時間半。コースタイムも3時間半。楽勝だね。
くつろいでると赤石岳山頂にいた嫌なオヤジがやってきた。山頂でもそーだったが、人に写真を撮ってもらうのに、こと細かく立ち位置を指示するんだよね。その言い草がかなり鼻につくんだよね。同じ事を赤石小屋でやっとりました。あーやだやだ。このオヤジ結構早そーだから先に行かせようと待ってたら、ウロウロしてなかなか行かない。仕方ない先に行くかと細い登山道に入る寸前で「あー先にすいません」と言って割り込んできた。頭にきたんでピッタリ後について煽り続けたら、「お先にどうぞ」と道を譲ったので、一瞥して先に行く。
ここからは意地ですごく飛ばした。1時間頑張って休憩。すごく疲れた。するとさっきのオヤジが抜いていった。マズイと思いすぐ追いかけてまた抜いた。「早いね〜」と言われたが「まー下りだから」とだけ答えて先に行く。しかし30分もすると足がいうことをきかなくなってきた。そして椹島まであと100mのところで抜かれてしまった。悔しいがどーにもならんかった。ヤツさえいなければこんな無理して駆け下りはしないのに。

椹島ではまずバスの手配。小屋泊しないとバスに乗せてくれないので交渉。なんとか乗せてもらえることになり、生ビールにありつく。プハ〜。サイコー。腹が減ったんで、月見そばとビールもう一杯注文。きれいなロッジ風のレストラン?で至福の時を過ごす。すると例のおばちゃんが下山してきた。また会うとは思わなかった。一緒にビールを飲む。
13時前に出発。小一時間で畑薙第1ダムへ。ひどく凸凹の道だった。バス停前に臨時の登山センターがあり下山報告書を書けと言われた。そこの略図に仙丈ケ岳・間ノ岳は載ってなかった。ずいぶん歩いたんだなと実感した。
バスは2500円だったか。10kg超のザックはその1.5倍の料金を取られる。ちと高くない?1時間近く待って出発。
いわゆる路線バスでのんびり静岡駅まで3時間半。長かった。
静岡駅に着くと久しぶりに浮いている自分を認識する。5日間風呂入ってないもんね。着替えはあるのでどっか風呂でもないかなと思ったが、ありそうな雰囲気はない。仕方ないまわりの人に我慢してもらおうと構わずに切符を買う。指定席を買おうと思ったが、間違えて自由席を買ってしまう。帰省ラッシュで混んでるだろうけど1時間半だからいいやとそのまま乗り場へ。ビールとつまみを買ってたら1本逃してしまうが、15分後には次がきた。新幹線なのに。都会なんだね。席は結構空いてて座れた。快適に東京まで。でも俺の隣に座ったねーちゃん、よく我慢したなー。
東京からは上越新幹線。駅弁を買ってホームで待つがすごく暑かった。新幹線に乗り込むとすぐに駅弁を食べる。マズかった。ハズレがないだろうと思って買ったトンカツ弁当だったが、裏目に出たようだ。そしてあっという間に最寄も駅に着き、家族の出迎え。こっちは連日エライ暑かったらしい。
こうして俺の一人旅は終わった。4泊5日のテント山行。とても面白かった。もっと人がいないと思っていたが、結構多かった。単独行も多いのではないだろうか。やはり南アルプスは一人静かに味わって歩きたいという人が多いのかもしれない。もう少し体力があれば、もう少し休暇があれば、光岳から寸又峡まで抜けられただろう。でも課題を残しておくのもいいだろう。また行く理由ができるから。その時も同じスタイルで行きたい。また同じ気持ちになれるから。