剣岳・小窓尾根〜剣尾根R4(敗退)〜早月尾根 Part2
日にち:2008年5月2日〜5月6日
パーティ:加藤・岡田
5/5 曇のち雨
4:00起床。天気は曇り。天気予報では富山は雨とのこと。今日がアタック日だというのに・・・
5:25 行動開始。荷物が軽い。登攀用具しかないから当たり前だけどね。相変わらずグズグズの雪の池ノ谷左俣を下っていく。早朝だというのに腿までもぐることもある。
5:40 R4取付。トレースもあり、昨日小窓尾根から良く見ていたので、迷うことはない。登攀用具を全て身につける。ザックをかき回してたら、行動食を忘れたことに気がつく。そーいえば1年前の前穂北尾根のときも忘れたなー。アホだなーと思いつつ、前途に不安を覚える。
6:20 登攀開始。立ち位置の関係で1Pは隊長がリード。トラバース気味に右上していく。トポでは結構悪いと書いてあったが、やはりザイルの伸びは悪い。30分くらいでなんか声が聞こえて、勢い良くザイルを引っ張ってきた。すぐビレイ解除し、登攀準備。声を掛けても聞き取れないが、とにかく引っ張ってるので、登ることにする。何十回とザイルを組んでいるので心配ない。
岩は濡れてて、ガバはほとんど動き、ホールドは外傾して悪い。雪も中途半端につき、バイルを刺して当てにできる代物ではない。正直このピッチをリードでなくて良かった。怖いよ。残置はまあまあ。でもビレイ点はハーケンを打ったとのこと。取付じゃ音が聞こえなかった。
2P目。俺リード。危ないルートなのは1P目で十分わかったから、気を入れなおし、慎重にいく。雪を5mトラバースし2mの岩の乗越し。最後が悪く力づくで登る。そこから60度ルンゼとなり、これがR4本流。氷はない。濡れた岩のルンゼを10m登りアイスフォール下まで着て、ガッカリ。氷がホントにショボイ。水も滴り完全シャワークライミング。こりゃダメかなと悩んだが、丁度残置もあったので少し登ってみると、バイルは引っ掛かる程度で、アイゼンは氷が壊れて効かない。薄い氷が完全に岩から浮いている。厚さも5cm前後。こんなの登りたくない、と思いクライムダウン。
とりあえず一旦ピッチを切って、隊長に上がってもらう。その間水浴び通し。隊長も悩んでいたが、俺と同じ意見で、敗退を決めた。
7:30 敗退決定。残置ボルトとハーケンで懸垂下降。やはり剣。岩が脆い。ルートじゃないので落石注意だ。しかし空中懸垂になったとき大きく振られたら岩がはがれ、頭くらいの岩が1m上から俺のヘルメットを直撃。そのまま右肩に落ちた。イテーと唸ったが、そんなに痛くはなかった。
取付に戻っても人はいなかった。ビレイ中池ノ谷を登っていくパーティがいたから、てっきりR4だと思ってたのに。一体どこへ行ったんだろう。
小休止後、三の窓まで登り返す。わずかに雨がちらほら。
9:40 三の窓着。あんなに賑やかだったのに、あるのはうちらのテントだけ。取り残された感120%。寂しいもんです。風があって濡れた身体には寒いので、テント内で温かいものを飲んで、これからどうしましょうか?天気も悪いので、チンネを登る気も失せていたので、適当な所まで下山しようということになった。
11:00 出発。また重い荷物を背負っての行動だ。しかも最初から池ノ谷ガリーの急登。辛い。
11:50 池ノ谷乗越。もう雨がチラホラってかんじで、休憩もそこそこ。ここからは雨は本降り。ガスで何も見えないなか、剣っぽい稜線を行く。
トレースは今日だけで30人は通ってるはずだから大丈夫。しかし雪は緩む一方で、何箇所か小雪崩でトレースが消えていた。おーコワッ!結構な急雪壁を登ったら、下降してくるパーティに出会う。たぶん長次郎の頭。剣尾根を登ってきたとのこと。そこから山頂はどうこうない稜線歩き。
13:00 剣岳山頂。
祠も埋もれてて小さな木版があるのみ。危うく通りすぎるところだった。実は一番憧れてた山頂なのだ。やっと立てた。が、全然感動がない。雨を吸い込み重くなる一方のザックを担ぎ疲れていたし、R4敗退の無念さもあったからか。一応記念撮影だけして早々に早月尾根に向かう。
さー早月に入れば楽勝だ、と思っていたが、甘かった。こちらは強風地帯だった。全然楽じゃなかった。一箇所渋いクライムダウン。雨は相変わらず。何から何まで濡れ鼠。重い。寒い。足・肩が痛い。疲れた。でも早月小屋が見えたとき、あーもうちょっとだと安堵した。しかし、これまた全然着かない。見た目より遠いのね。やられたよ。
15:15 早月小屋着。小屋番に「泊まりますか」と聞かれ、隊長とはすぐ意見が一致し、「はい、素泊まりで」と答えた。この悲惨な状況でテント泊はどうしても避けたかったのだ。6500円と高かったが、ビールも飲めたし、小屋番は良くしてくれたし、服が乾かせたし、布団で広々寝れたので、大正解だった。
5/6 快晴
5時過ぎに起床。良く眠れました。が、体がおかしい。下山した後の身体になってるのだ。窮屈なテントで寝てるとこんなことはないのに、身体の節々が固まって筋肉痛がでてるのだ。隊長も同じらしく、山でも快適な布団で寝ると下界と同じ効果があることがわかった。朝食は普通の泊り客が食べ終わったあと、のんびり食べさせてくれた。小屋番はこれから小屋を閉めて下山するとのこと。
6:40 早月小屋発。今山行初めてアイゼンがキュッキュッと軋む音がする。快晴でいい冷え込みだ。これが普通だよと改めて納得する。今日はやばい所もないしお気楽に写真を撮りながら下る。
しかし1600mの道標を過ぎた後、松尾平へ下りそうになり、引き返したり、1047mの展望台から稜線通しに行ってしまいずーと測量道を行ってしまう。何でこんな余計な労力を使うのだろう?
10:10 馬場島着。遠回りしたんで遅いし、疲れました。とうとう靴づれもでたし。でもやっと着いた。これでこの重いザックともおさらばだ。
馬場島は入山日と同様暑かった。剣を見上げると小窓尾根の険しい稜線がよく見えた。入山日も見えていたが、小窓尾根とはわからなかった。下山報告を済ませ、温泉へ一直線。上市の温泉センターに入る。広くていい施設だった。
そして昼食。富山の刺身しかないでしょう、ということで滑川市街に行くがコレ!とうのがない。仕方なく隣の魚津市街へ行く。こちらも同じようだったが、駅前の「宇奈義」という鰻と割烹の店に決めた。実は早月小屋に泊まったときテレビでうな重の映像を流していて、とても喰いたかったのだ。ということでうな重の上と刺身の盛り合わせを頼む。両方とも実にうまかった。値もいいが大満足だった。さーあとは飛ばして帰りますか。
14:22 魚津IC。北陸道に渋滞はない。昼間なので抑え気味に車を走らせる。長野道に入ると対面通行がありチンタラ運転。更埴JCを過ぎると車が増えてきた。横川で釜飯を土産がわりに買って、携帯電話がないことに気がついた。最後に使ったのが「宇奈義」だ。マジかよ・・・
17:30 自宅着。隊長と別れ、すぐに104で「宇奈義」の電話を調べる。駅前の飲食店なのに該当がないという。そんなバカな。としつこく聞いたら「うなよし」ならありますとのこと。なるほど「うなぎ」じゃなく「うなよし」と読むんだ。すぐに電話すると快く着払いで送ってくれるとのこと。あー良かった。取りに行く羽目になったら、高速と燃料代で2万円以上払い、半日を費やすところだった。「うなよし」さん有難う。近くへ行ったらまた行きます。
今回の山行は体調管理もうまくいったので、基本的には調子が良かった。しかし天候はきつかった。1、2日目の暑さは異常だ。夏と変わらないくらい暑く、雪の状態は悪かった。そして3日目のR4アタック。あの氷でもMIXクライミングと考えれば、登るんだろうなーというのはあったが、「俺は氷を攀じりに来たんだ。こんなのをやりに来たんじゃない」と思ったら、やる気が失せた。隊長も同じ考えだと思う。そうそう、また来ればいいんだ。でも今度は小窓尾根は回らない。遠すぎるよ。でも充実した山行だった。
「試練と憧れの山。岩と雪の殿堂。剣岳」底知れぬ魅力がある山です。