八ケ岳・旭岳東稜
日にち:2010年3月28日(日) 曇のち雪
パーティ:加藤・岡田
美しの森P(5:05-6:55)出合小屋(7:20-8:40)ナイフリッジ(8:45-10:30)五段の宮取付(11:10-15:15)旭岳山頂(15:35-16:50)ツルネの頭(17:05-東稜下降-18:15)出合小屋(18:30-20:55)美しの森P
19:30 出発。
さすがに早い出発なんで、車が多い。清里が近くなっても雪は皆無だった。22時前に到着。車は4、5台。みんな前日発のようだ。気温は0度で温かい。テントを設営し宴会。久しぶりなんで盛り上がってしまい、24時半頃お開き。
4:00 起床。眠いねむい。カップそばとシュークリームを食べ、準備。
5:05 出発。雪はほとんど残ってなく、快調に林道終点まで行き、1本。
地獄谷に入ると、どーも道が広すぎるな―と思っていたら、真新しい堰堤が出来てた。「平成21年」と書いてあったから、出来立てホヤホヤってことだね。なーんか嫌な気分になった。

それからはだんだんと雪がでてきて、渡渉も数回。水量は少なかったが、アイゼンをつけてなかったんで、凍ってていやらしい所が2回ほどあった。今回はハイドレーションで給水をやってみたが、途中で凍って飲めなくなってしまう。氷点下じゃ使えないのね。小屋付近は−5度だったが、それ以上に寒く感じた。
6:55 出合小屋着。

1年ぶりです。中にはテントが1張。他にも先客はいそうですな。今回給水のほかに、靴下3枚履いてみた。毛の中厚2枚に薄いインナー。このインナーが生地が堅く、すれて痛いので、小屋で脱いでしまう。なーんか新しい試みが失敗するなー。
7:20 出合小屋発。
すぐに赤岳沢との分岐を過ぎ、権現沢を1回渡渉。前回は手前から最初のルンゼを上がっていったが、今回は東稜を回り込んで上の権現沢側の最初のルンゼから取りつく。大差はないが、ちょっといいみたいだな。

稜上はしばらく雪が締まってて歩きやすい。登っていくと、雪が次第に深くなったが、トレースに助けられ順調に進む。こんなナイフリッジもあるのだ。

そして天狗尾根の展望がいいところで2回目の休憩。

すると上ノ権現沢側から、声とともに何かが落ちてくる音がした。加藤さんは大きな木みたいのが落ちるのが見えたという。落石かなーと言ってると、少し経ってからリズム良くパシッパシッと音がして、人の足音のようにも聞こえたが、加藤さんが「ザックだー」という。
こりゃー落ちたなと思い、しばらく沢の様子を伺っていると、だいぶ上から男の声がする。すると沢から「おーい」と女の声がした。かなり近いんで、こちらも「おーい」と答えるが、こちらに応じる様子はない。また様子をうかがってると、沢を空身で登ってる人が見えたんで、女の声の主に違いないと思い、「大丈夫ですかー」と声をかけたら、「大丈夫ですー」と今度は返事があった。普通に登ってたんで、大した怪我はしてないようだ。
間もなく上から人が下りてきて、無事合流。2人Pらしく、立って話をしてるんで、ホントに大丈夫なようなんで、安心してまた登り始める。でもどこから落ちたんだろう?ザックは回収するのかな?などと余計な心配をする。
そこから少し登ると、右に回り込んで30mほどの氷結した草付の急登。相変わらず悪い!ここで落ちたら木にぶつかって、無傷はありえんないから、ここじゃないみたい。最後の雪壁を登る。

尾根に戻り少し行くと、ルンゼ状の急登。見たより急でダガーポジション。

ここから沢へ行くトレースを発見したんで、ここで滑落したようだ。木もないし無傷なのも合点がいく。前回はワカンで登ったんで苦労したとこ。
ルンゼを登りきると、五段の宮とご対面。先行Pが左側の草付を登ってるのが見える。稜線まであと少し。

10:30 五段の宮に到着。早かったけど、疲れたね。

天気もそーだが、雪の着き方が去年とかなり違う。ちなみにこれが去年。

結構早く着いたんで、天気はもつだろうと思い、のんびり登攀準備をする。権現岳に人が見えた。去年1段目をソロで途中まで登ってるんで、是非リードさせてとお願いする。このときはトレースがないことを大変光栄に思っていた。
11:10 登攀開始。
1P目。4級+ 15m
壁を目の前にして、「なーんか去年と違うなー」と感じる。こんなに手掛かりなかったっけ?まーいーやと残置シュリンゲ右のフェースから登りだす。案の定ホールドは悪く厳しい。雪を掻き分けてもたいして良いのは出てこない。なんとか直径10cmの木までたどりついたが、乗越す一手がない。バイルはザックに付けたままなんで、腰にぶら下げたピッケルを取ろうと木に体重を預けたら、「メリメリ」と音がし、木が傾き始めた。「ウッソー。こんな太い木が俺の体重くらいで折れるか?」と思ったが、根元20cmを残し、今にももげそうになっている。
ダメだーこのままじゃ木と一緒に落ちると思い、根元を掴んで態勢を戻す。あれこれ考えたが、刃物がなきゃ上がれないので、一旦クライムダウンする。ランニングは取れてないので、キンチョー物だった。
取付に戻ると息は上がってるし、手もパンプしていた。もげそうな木を見上げてみると、枝に氷がびっしり着いていて相当重たくなってるようだ。あーあ、いい手掛かりを1本ダメにしてしまった。自然破壊を含め、今後取りつく皆様、ごめんなさい。
次はシュリンゲ左の凹角状から登ってみるが、ダメ。あーあ、どうしよ。もう1回右をチャレンジしてみるか。でも怖いなー。今度は手袋を薄手にする。
今度は順調に乗越しまで登り、ピッケルで引っかかるところ見つけ、せーので這い上がる。心臓に悪かった。そして雪壁を登り、木にランニングを取り人心地。ふー。気がつけば雪が降ってきた。
さー2段目。グズ雪をたどり右のキノコ雪直下まで登る。キノコは頭上1mでオーバーハング。切りくずすも、堅くてはかどらない。刃物を利かすには柔らかいというハンパ物。まいったなー。幸いにもキノコ雪の下に木の根が出てたんで、ランニングを取り、一旦ロワーダウンしてもらう。
加藤さんから、「左から回り込めない?」と言われ、見ると行けそうだ。わかってはいたが、怖そうなんで却下してたんだよなー。再チャレンジ。見えないキノコ雪の左に手を回し、ツララっぽい手掛かりを見つけ、左足はちっちゃい岩にそっと置き立ち込む。そのまま体を上げていき、キノコ雪にピッケルを何度か打ち込み、やっとホールドし、ずり上がる。すかさず左手を雪面にぶち込み、安定姿勢がとれた。ふえー寿命が縮んだよ。

すぐ上には3段目が待ち構える。

予想以上に立ってるなー。まーた雪も氷も中途半端じゃん。なにか支点は?と探すが、ない・・・。だいぶ縮んだ俺の心臓では、こりゃーあかん。とりあえず加藤さんに上がってもらうために、クライムダウンし、ちょっと見えてた木を掘り出すも、親指ほどしか太さがない。仕方なくこれまたちょっと見えてた岩を掘り出すと、下に荷重をかけてれば大丈夫だろうぐらいの岩角だったんで、そこでビレイ。
加藤さんと合流し、相談。「もっといい支点があれば、突っ込む気にもなるんだけどなー」が共通の意見。残念だが諦めて左へ逃げることに決めた。
2P目。25m 4−級。加藤さんリード。

雪壁となったバンドを下りながら左へトラバース。最下部のトラバースが悪かったが、登りは3級程度。
3P目。45m 3級。俺リード。
傾斜の緩い所を行ったり来たりして稜線に上がる。立木でビレイ。草付なんでバイルはいいが、ピッケルの効きが悪い。これでザイルは解いてもいいくらいだが、仕舞うのも時間をくうので、そのままスタッカトでいく。
4P目。50m。適度なナイフリッジ。

5P目。45m。緩いナイフリッジ。

6P目。40m。氷雪壁からリッジ。
7P目。20m。ただのリッジから山頂。
15:15 旭岳山頂。

いやー時間かかっちゃった。4時間だよ。俺の1P目のせいです。ハイ。ヘッ電確定。辺りはガスに包まれ、吹雪の様相。風がそれほど強くないので、燃料補給して下山に備える。
15:35 下山開始。
視界は20〜50mで、なかなか辛い。直下の岩峰を左から回り込んで下りるも、越えられず、もっと下まで降りてトラバースしていく。そして尾根に戻り下りて行くが、どーも細すぎる。先も岩だらけ。こりゃー間違えたと50mほど登り返す。稜線に戻り、ガスが切れるのを待つと、もうひとつ尾根が見えたので、そちらへトラバースしていく。かすかなトレースもあったんで間違いないだろう。
風雪は結構なものになってきたが、−10度で風速も10m/s程度だからたいしたことはない。正月山行の1/3程度の辛さかな。でもルートがわからないのは同じ。それにしても一発雷が鳴り響いたのには驚いた。そーいえば、なーんかジリジリ音がしてたんだよねー。

さらに2回ほど間違える。この稜線ってこんなに支尾根あったけ?こういう状況は心と体の体力を奪われる。今回はコンパスと地形図で確認しながら行動した。最後に広い稜線に入り、途中標識を確認し、ツルネへの登りにはいる。
16:50 ツルネの頭。

1時間15分かかった。30分を見込んでたのに。ホントにホワイトアウトは厳しいね。もうちょっと視界があれば何でもないのに。時間は遅いが、ガッツリ疲れたので、1本。もー迷うことはないから、後はひたすら歩くのみ。
雪が多くスネ前後のラッセルだが、ほとんど1本調子なんで下りやすい。疲れてはいたが、休まず下り続ける。去年はトレースに従い途中で右の支尾根に入り、沢伝いに下ったが、今回はかすかに残るトレースに従う。トポ通り基本左左です。尾根の終わり際は急なんで手前から左の沢に下りてしまう。
18:15 出合小屋。
1時間10分と早かった。小屋には翌日権現東稜を登るというパーティがいた。夕食中でいーにおいをさせていてうらやましかった。ガチャ類を整理し、ヘッ電を点ける。
18:30 出合小屋発。
もう真っ暗。トレースはかすかに見えるが、渡渉点や沢を歩くとルートがわかりづらく何回か迷う。ここを夜歩くといつもそーなんだよね。途中1本立て、体にムチ打ってひたすら歩く。雪は10cmほど積もっていて、朝とは別世界になっていた。
20:55 美しの森に到着。もーヨレヨレだった。あー疲れた。
去年のリベンジは果たしたものの、3段目以降が登れなかったことに悔いが残る山行になってしまった。去年1段目を空身で数手登ったり、見た感じは簡単そーだったんだけど、いざ登ると傾斜が強く難しかった。プロテクションも甘いので、非常に怖いクライミングを強いられた。
これで八ケ岳東面・三部作(天狗尾根・旭岳東稜・権現岳東稜)が完成した。全て残雪期の1Dayアタック。それぞれに課題が残ってるので、またトレースしたい山域です。